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2011-11-05

バルセロナB級グルメフェアー(前編)

はよく、以前は服装業界で仕事をしていた妻に
「バーゲンと、セールと、フェアーの違いって何?」
と聞きます。

よく、というのは妻もそろそろ、いい加減説明するのもメンドクサそうになってきているので、多分私が相当な回数同じことを繰り返し繰り返し聞いているのだと思います。つまり何度聞いても理解できていないわけです。

私はなんとなく勝手に、「バーゲンは在庫叩き売り」、「セールは現行商品だからそんなに値引かない」、「フェアーは値引きじゃなくてテーマ性を持たせた売り出し」、ぐらいに理解しています。

さて、今回はバルセロナの食べ物を紹介するわけですが、やはりテーマ性は必要だと考えました。そこで、今回は「B級グルメ」についてお話してみようとおもいます。つまりB級グルメフェアーですね。それが言いたかっただけです。

B級グルメの話をするにあたって、「B級グルメとはなんぞや」ということを考えました。たとえばの例をあげてみましょう。
ホルモン焼きや串カツや焼きそばなどはB級グルメだ、というのは一般的な解釈ではないでしょうか。特に異論はでてこないでしょう。

それではパスタやサンドイッチなどはどうでしょうか。B級と言えなくもないがすこし感じが変わるのではないでしょうか。たとえば「納豆パスタ」や「カツサンドイッチ」だったとしたなら、わりとしっくりB級グルメだという感じではないでしょうか。

ではもしこれが「ジェノベーゼ」だったり「フォカッチャ」だったらどうでしょう。B級の守備範囲から少し外れてしまった感じがしないでしょうか。

もちろんこれは人によって異なる考えがあると思います。

ここで学術的な定義を出したいわけでもなく、このフェアーはあくまで主観と客観のエッジの上を行く食べ物企画です。しかしどちらかというと科学的にというよりも詩的にありたいと思っています。

そこで私は、ここはひとつ食べ物の内容によってB級かどうかにこだわるのではなく、「街並み」というものに重きを置いて判断することにしました。すなわち

「店がFunkyな場所にあるかどうか」

という基準を設けたのです。
簡単にいえばバルセロナ随一の観光スポットであるランブラ通りやその近辺は除外しております。
それは、ここにやってくる観光客がスペインっぽいものを求めているからタパスやパエリヤの店が並んでいるということが自明だからです。

ここで少し地図をお見せします。


より大きな地図で バルセロナB級グルメマップ を表示

さて、地図に目をやっていただくと、地図に私が色で区域を分けさせてもらっています。今回は旧市街のリセウ通りよりも海側に近い地域を選択しました。なぜそこを選んだかというと、街並みが海に近いほうがファンキーだからいい感じの店が適度に集まっていたからです。

そして、その区域を大きく3つに分けました。ここでは便宜的に
「キタ」
「センバホリエ」
「シンセカイ」
と呼ぶことにします。そして「センバホリエ」と「シンセカイ」の間のランブラ通りはさしずめ「道頓堀」という風に考えてもらえれば分かりやすいでしょう。とりあえず、今回の前編では梅田、じゃなくて「キタ」は後回しにします。

センバホリエゾーンには、カフェがいっぱいあります。
小さな雑貨屋もあります。ガラス戸から中を覗くと若い人たちがなにかクリエーティブなことをしている雰囲気も伺えます。たったそれだけのことで南船場と堀江を引き合いに出さざるを得ないという、グルメ記事を書こうとする者にあるまじき筆者のカルチャーに対する知識の貧困さを露呈しています。

さてセンバとホリエを散策するときにオススメの通りには、線を引いておきましたので、また何かの参考にしていただければと思います。


より大きな地図で バルセロナB級グルメマップ を表示

京都でいうと先斗町か、その倍くらいの幅、車は入ってこないような道なのでゆったり歩けます。先斗町とは違って気さくなバルが立ち並んでいますので、歩いていたら気になる店の1,2件は見つかるでしょう。日本の手巻き寿司を売ってるような店もありました。

このセンバホリエエリアの代表として、私はこの店を推薦します。

その名も「Bar Celta Pulperia」




ここの名物はタコでしょう。注文すべきです。
豚の耳(つまりミミガー)とシシトウの素揚げ
店員は若くて威勢がよく、テキパキしています。カウンターに座ると兄ちゃんが「ドリンクは!?プルポ(タコ)か!?パン・コン・トマテいるだろ!?」と完全に自分のペースでオーダーを取ってきますので、自分が欲しい食べ物の意思表示はハッキリしましょう。メニューとかありませんので、カウンターの寿司ネタみたいなケースに入っている食材から気になる食材を指さして「エスタ(これ)」とか言えば、ちゃちゃっと盛りつけて、かるく調理してすぐ出てきます。

一方でシンセカイ・ゾーンはちょっとばかりやさぐれた雰囲気が漂いますが、国際色豊かなエリアです(だから治安の問題もあるのでしょうが)。




この「Pollo Rico」という店はとてもいいです。Polloとは鶏肉のことです。

このエリアではこの店に出会ったことが素晴らしい出来事でした。たまたま前を通りがかったときにニュータイプ、あるいはセブンセンシズに目覚めて、ええ、まあとにかくピーンと来ましてですね、「ここはいい店に違いない」と突撃しました。


チキンとポテト。
途中からはチリソースで変化をつけて。



子ダコのプランチャ(鉄板焼)。この緑色のソースが美味い。パンに付けても美味い。先程のチリソースに付けても美味しい。とにかく美味しい。ハイブリッドに美味しい。

この店を見つけたのは全くの偶然でしたが、これはもう嗅覚としか言えません。店の前でいい匂いがしたのです。食べ物を探しあてるという動物として最も基本的なものを体から引き出して探し当てる、そういうことが功を奏するのもこのエリアの深さと言えます。

さて、他にもいろいろ紹介したい店はあります。しかしこれはブログです。いつまでもじっと書いているよりも、逐次的に情報を出したほうが新鮮味があると思い、まずは二ヶ所ほど紹介いたしました。

こちらにいる間はこれがもう最後かもしれませんが、日本に戻ってからも、この件については継続していきたいと思います。


2011-11-04

フィゲラスへの電車旅


バルセロナから電車(RENFE)に乗って、フィゲラスの町まで行くことにしました。日帰り電車旅です。パサジ・デ・グラシア駅で往復チケットを買い、急行列車(MD)に乗り込みました。

列車に乗った雰囲気として日本の鉄道で一番感じが近かったのは、近鉄電車じゃないですかね。なんとなく伊勢志摩ライナーを思い出します。

大都会のバルセロナを出発すると、車窓からの景色は郊外の、それこそブエルタ・ア・エスパーニャで自転車の隊列が走っていそうな風景に変わりました。

2時間足らずで目的地のフィゲラスの駅に到着。

変な噴水がお出迎え
街の中心部に歩いて行くと、広場とランブラ(遊歩道)が現れ、市場がひらかれています。ここの広場もカタルーニャ広場といい、バルセロナにも同じ名前の広場があります。

この町にやってきた理由はひとつ、サルバドール・ダリの「劇場美術館」を鑑賞にきたのでした。ガイドブックに「変わった建物なのですぐわかる」と書いてありましたが、街中の表示にもしたがってあるいていくと、15〜20分ほど歩くとたしかにすぐわかりました。



館内には受付で入場料を払って入ります。美術館までの道はおみやげ物の店も並んでいました。
劇場、というだけあって、真ん中のメインホールを取り囲むように建物が円形になっています。順路が数字で示されているので迷う心配はありません。

メインホール?

ダリというと、へなへなした時計とかシュールな作品や騙し絵などがインパクトが強いのですが、やはり画力そのものが素晴らしいとしかいいようがありません。


沢山の連作が壁一面に並んでいて、世間一般の奇人イメージとは違った、一生かけて絵に取り組んだ人の成果、その生真面目さのようなものを感じることができました。

帰りは普通列車でのろのろ帰ります。ただ電車に乗りたかったというだけでもありましたが、バルセロナ・サンツ駅に到着すると、「帰ってきた」という感覚がありました。もうしばらくしたら本当に帰るんですけどね。でも少しだけバルセロナの町が「おかえり、おつかれさん」と迎えてくれた気がして嬉しくもありました。

2011-11-03

グエル公園の音

今日も懲りずに、自転車で坂を登ってグエル公園に。
パーキング表記にしたがって登っていったので、どうやら自動車の駐車場へのルートで登ったため、必要以上に激坂を登るハメになりました。


眺めていると、モンジュイックの丘ぐらいは標高差あるのと違うの?今日借りた自転車は変速無しのシティサイクルタイプだったので、なんだか無駄にパワートレーニングしてしまった。

ガウディの家博物館に入ってみました。
ガウディのデザインした椅子がいっぱい。ガウディはここにずっと住んでいたそうです。

公園を歩いていると、有機的な橋の下からリュートの音が聞こえてきました。

しばらく演奏に聞き入っていました。

なんだか、この景色と空気を音と一緒に後から思い出したくなって、リュート弾きのMiguelさんのCDを売ってもらいました。


日本人の写真家と友だちだというMiguelさん。

公園の中の道端にはいろんな物を売ってるひともいますが、カスタネットの音が小気味良く聞こえてきたので、中東風のおじさんから、カスタネットも買いました。フラメンコみたいないい音がします。

その後は、陽の当る坂道を自転車で駆け下りました。
今回のグエル公園は、耳で感じる散歩でした。


2011-11-01

地中海サイクリング


昨日は久々にお天気がよかったので(バルセロナこの時期はどんよりしている日が多いらしい)、自転車をレンタルしてあちこち行ってみようと思いました。

バルセロナにはたくさんレンタル自転車屋があります。いくつか目星をつけておいて、良さそうだなと思ったところに行ってみると、なんと閉まっています。
前の日に前を通りがかったので店の人に「ここは毎日開いてるんですか?」と聞いてみたら「毎日だよ」という返事だったのですが。もらったパンフレットの営業時間も過ぎてるけど・・・

仕方ないので他にないかと歩いていたら、もう一件良さそうなのを見つけました。しかも料金がこっちのほうが安い。ということで、パスポートを預けて自転車で繰り出しました。

まずは、街のシンボル・モンジュイックの丘に向かいます。

丘という名前に油断していましたが、ところどころ結構な激坂。しかも今日はロードではありません。ハンドルの付け根を持ってなんとか前傾姿勢にして乗り切ります。
頂上まではロープウェーでも行けます。でも、自転車乗りは是非ともこの坂を登っていただきたい。

頂上に到着。
見晴らしがよいところには大砲。
頂上にある元要塞は美術館になっていました。

丘を下って、ふもとの町並みへ。
細い路地をはしっていると、ときどきこのように空間が開けて広場になっているところに出会います。カフェがあって、休憩している人がいて、子どもが遊んでいて、犬が散歩していて。まさに都会のオアシス。

道路の右側通行はそれほど困らないのですが、戸惑うのがこういうラウンドアバウト(ロータリー交差点)での振る舞いです。日本ではあまりお目にかかりません。

バルセロナの大きな通りには自転車専用レーンがあります。しかも、それが道のど真ん中です。
普通は道の歩道側の端っこをはしるのですが、このように道の中央が自転車レーンになっている道もあります。これは結構変な気分ですが、自転車は乗り物、という意識がこちらではしっかりしているのかもしれません。


ロータリーに出くわして、じじじじじ自転車はどどどどどどうしたらと思っていたら、ああ、なるほど、ここで歩道に上がりなさい、という指示ですね。

海沿いの道も走ってみました。延々海岸にそって続く気持ちのいい道路が伸びていました。



こぎ疲れたので、海沿いのレストランで補給。

なんか、逆にこっちが取って食われそうな迫力です。
奥にある緑色のものは、ピメント(ししとう)を塩で味付けしてオリーブオイルで素揚げしたものです。シンプルですがやみつきになる、バルセロナに来たら是非食べてみて欲しい料理です。

いつもは海のない京都で走っているので、実はこんなに海岸線を自転車で走るなんていう体験ははじめてだったかもしれないです。日本に帰ったら海沿いを自転車で走ってみたいという思いを強くしました。