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2011-11-05

バルセロナB級グルメフェアー(前編)

はよく、以前は服装業界で仕事をしていた妻に
「バーゲンと、セールと、フェアーの違いって何?」
と聞きます。

よく、というのは妻もそろそろ、いい加減説明するのもメンドクサそうになってきているので、多分私が相当な回数同じことを繰り返し繰り返し聞いているのだと思います。つまり何度聞いても理解できていないわけです。

私はなんとなく勝手に、「バーゲンは在庫叩き売り」、「セールは現行商品だからそんなに値引かない」、「フェアーは値引きじゃなくてテーマ性を持たせた売り出し」、ぐらいに理解しています。

さて、今回はバルセロナの食べ物を紹介するわけですが、やはりテーマ性は必要だと考えました。そこで、今回は「B級グルメ」についてお話してみようとおもいます。つまりB級グルメフェアーですね。それが言いたかっただけです。

B級グルメの話をするにあたって、「B級グルメとはなんぞや」ということを考えました。たとえばの例をあげてみましょう。
ホルモン焼きや串カツや焼きそばなどはB級グルメだ、というのは一般的な解釈ではないでしょうか。特に異論はでてこないでしょう。

それではパスタやサンドイッチなどはどうでしょうか。B級と言えなくもないがすこし感じが変わるのではないでしょうか。たとえば「納豆パスタ」や「カツサンドイッチ」だったとしたなら、わりとしっくりB級グルメだという感じではないでしょうか。

ではもしこれが「ジェノベーゼ」だったり「フォカッチャ」だったらどうでしょう。B級の守備範囲から少し外れてしまった感じがしないでしょうか。

もちろんこれは人によって異なる考えがあると思います。

ここで学術的な定義を出したいわけでもなく、このフェアーはあくまで主観と客観のエッジの上を行く食べ物企画です。しかしどちらかというと科学的にというよりも詩的にありたいと思っています。

そこで私は、ここはひとつ食べ物の内容によってB級かどうかにこだわるのではなく、「街並み」というものに重きを置いて判断することにしました。すなわち

「店がFunkyな場所にあるかどうか」

という基準を設けたのです。
簡単にいえばバルセロナ随一の観光スポットであるランブラ通りやその近辺は除外しております。
それは、ここにやってくる観光客がスペインっぽいものを求めているからタパスやパエリヤの店が並んでいるということが自明だからです。

ここで少し地図をお見せします。


より大きな地図で バルセロナB級グルメマップ を表示

さて、地図に目をやっていただくと、地図に私が色で区域を分けさせてもらっています。今回は旧市街のリセウ通りよりも海側に近い地域を選択しました。なぜそこを選んだかというと、街並みが海に近いほうがファンキーだからいい感じの店が適度に集まっていたからです。

そして、その区域を大きく3つに分けました。ここでは便宜的に
「キタ」
「センバホリエ」
「シンセカイ」
と呼ぶことにします。そして「センバホリエ」と「シンセカイ」の間のランブラ通りはさしずめ「道頓堀」という風に考えてもらえれば分かりやすいでしょう。とりあえず、今回の前編では梅田、じゃなくて「キタ」は後回しにします。

センバホリエゾーンには、カフェがいっぱいあります。
小さな雑貨屋もあります。ガラス戸から中を覗くと若い人たちがなにかクリエーティブなことをしている雰囲気も伺えます。たったそれだけのことで南船場と堀江を引き合いに出さざるを得ないという、グルメ記事を書こうとする者にあるまじき筆者のカルチャーに対する知識の貧困さを露呈しています。

さてセンバとホリエを散策するときにオススメの通りには、線を引いておきましたので、また何かの参考にしていただければと思います。


より大きな地図で バルセロナB級グルメマップ を表示

京都でいうと先斗町か、その倍くらいの幅、車は入ってこないような道なのでゆったり歩けます。先斗町とは違って気さくなバルが立ち並んでいますので、歩いていたら気になる店の1,2件は見つかるでしょう。日本の手巻き寿司を売ってるような店もありました。

このセンバホリエエリアの代表として、私はこの店を推薦します。

その名も「Bar Celta Pulperia」




ここの名物はタコでしょう。注文すべきです。
豚の耳(つまりミミガー)とシシトウの素揚げ
店員は若くて威勢がよく、テキパキしています。カウンターに座ると兄ちゃんが「ドリンクは!?プルポ(タコ)か!?パン・コン・トマテいるだろ!?」と完全に自分のペースでオーダーを取ってきますので、自分が欲しい食べ物の意思表示はハッキリしましょう。メニューとかありませんので、カウンターの寿司ネタみたいなケースに入っている食材から気になる食材を指さして「エスタ(これ)」とか言えば、ちゃちゃっと盛りつけて、かるく調理してすぐ出てきます。

一方でシンセカイ・ゾーンはちょっとばかりやさぐれた雰囲気が漂いますが、国際色豊かなエリアです(だから治安の問題もあるのでしょうが)。




この「Pollo Rico」という店はとてもいいです。Polloとは鶏肉のことです。

このエリアではこの店に出会ったことが素晴らしい出来事でした。たまたま前を通りがかったときにニュータイプ、あるいはセブンセンシズに目覚めて、ええ、まあとにかくピーンと来ましてですね、「ここはいい店に違いない」と突撃しました。


チキンとポテト。
途中からはチリソースで変化をつけて。



子ダコのプランチャ(鉄板焼)。この緑色のソースが美味い。パンに付けても美味い。先程のチリソースに付けても美味しい。とにかく美味しい。ハイブリッドに美味しい。

この店を見つけたのは全くの偶然でしたが、これはもう嗅覚としか言えません。店の前でいい匂いがしたのです。食べ物を探しあてるという動物として最も基本的なものを体から引き出して探し当てる、そういうことが功を奏するのもこのエリアの深さと言えます。

さて、他にもいろいろ紹介したい店はあります。しかしこれはブログです。いつまでもじっと書いているよりも、逐次的に情報を出したほうが新鮮味があると思い、まずは二ヶ所ほど紹介いたしました。

こちらにいる間はこれがもう最後かもしれませんが、日本に戻ってからも、この件については継続していきたいと思います。


2011-11-04

フィゲラスへの電車旅


バルセロナから電車(RENFE)に乗って、フィゲラスの町まで行くことにしました。日帰り電車旅です。パサジ・デ・グラシア駅で往復チケットを買い、急行列車(MD)に乗り込みました。

列車に乗った雰囲気として日本の鉄道で一番感じが近かったのは、近鉄電車じゃないですかね。なんとなく伊勢志摩ライナーを思い出します。

大都会のバルセロナを出発すると、車窓からの景色は郊外の、それこそブエルタ・ア・エスパーニャで自転車の隊列が走っていそうな風景に変わりました。

2時間足らずで目的地のフィゲラスの駅に到着。

変な噴水がお出迎え
街の中心部に歩いて行くと、広場とランブラ(遊歩道)が現れ、市場がひらかれています。ここの広場もカタルーニャ広場といい、バルセロナにも同じ名前の広場があります。

この町にやってきた理由はひとつ、サルバドール・ダリの「劇場美術館」を鑑賞にきたのでした。ガイドブックに「変わった建物なのですぐわかる」と書いてありましたが、街中の表示にもしたがってあるいていくと、15〜20分ほど歩くとたしかにすぐわかりました。



館内には受付で入場料を払って入ります。美術館までの道はおみやげ物の店も並んでいました。
劇場、というだけあって、真ん中のメインホールを取り囲むように建物が円形になっています。順路が数字で示されているので迷う心配はありません。

メインホール?

ダリというと、へなへなした時計とかシュールな作品や騙し絵などがインパクトが強いのですが、やはり画力そのものが素晴らしいとしかいいようがありません。


沢山の連作が壁一面に並んでいて、世間一般の奇人イメージとは違った、一生かけて絵に取り組んだ人の成果、その生真面目さのようなものを感じることができました。

帰りは普通列車でのろのろ帰ります。ただ電車に乗りたかったというだけでもありましたが、バルセロナ・サンツ駅に到着すると、「帰ってきた」という感覚がありました。もうしばらくしたら本当に帰るんですけどね。でも少しだけバルセロナの町が「おかえり、おつかれさん」と迎えてくれた気がして嬉しくもありました。

2011-11-03

グエル公園の音

今日も懲りずに、自転車で坂を登ってグエル公園に。
パーキング表記にしたがって登っていったので、どうやら自動車の駐車場へのルートで登ったため、必要以上に激坂を登るハメになりました。


眺めていると、モンジュイックの丘ぐらいは標高差あるのと違うの?今日借りた自転車は変速無しのシティサイクルタイプだったので、なんだか無駄にパワートレーニングしてしまった。

ガウディの家博物館に入ってみました。
ガウディのデザインした椅子がいっぱい。ガウディはここにずっと住んでいたそうです。

公園を歩いていると、有機的な橋の下からリュートの音が聞こえてきました。

しばらく演奏に聞き入っていました。

なんだか、この景色と空気を音と一緒に後から思い出したくなって、リュート弾きのMiguelさんのCDを売ってもらいました。


日本人の写真家と友だちだというMiguelさん。

公園の中の道端にはいろんな物を売ってるひともいますが、カスタネットの音が小気味良く聞こえてきたので、中東風のおじさんから、カスタネットも買いました。フラメンコみたいないい音がします。

その後は、陽の当る坂道を自転車で駆け下りました。
今回のグエル公園は、耳で感じる散歩でした。


2011-11-01

地中海サイクリング


昨日は久々にお天気がよかったので(バルセロナこの時期はどんよりしている日が多いらしい)、自転車をレンタルしてあちこち行ってみようと思いました。

バルセロナにはたくさんレンタル自転車屋があります。いくつか目星をつけておいて、良さそうだなと思ったところに行ってみると、なんと閉まっています。
前の日に前を通りがかったので店の人に「ここは毎日開いてるんですか?」と聞いてみたら「毎日だよ」という返事だったのですが。もらったパンフレットの営業時間も過ぎてるけど・・・

仕方ないので他にないかと歩いていたら、もう一件良さそうなのを見つけました。しかも料金がこっちのほうが安い。ということで、パスポートを預けて自転車で繰り出しました。

まずは、街のシンボル・モンジュイックの丘に向かいます。

丘という名前に油断していましたが、ところどころ結構な激坂。しかも今日はロードではありません。ハンドルの付け根を持ってなんとか前傾姿勢にして乗り切ります。
頂上まではロープウェーでも行けます。でも、自転車乗りは是非ともこの坂を登っていただきたい。

頂上に到着。
見晴らしがよいところには大砲。
頂上にある元要塞は美術館になっていました。

丘を下って、ふもとの町並みへ。
細い路地をはしっていると、ときどきこのように空間が開けて広場になっているところに出会います。カフェがあって、休憩している人がいて、子どもが遊んでいて、犬が散歩していて。まさに都会のオアシス。

道路の右側通行はそれほど困らないのですが、戸惑うのがこういうラウンドアバウト(ロータリー交差点)での振る舞いです。日本ではあまりお目にかかりません。

バルセロナの大きな通りには自転車専用レーンがあります。しかも、それが道のど真ん中です。
普通は道の歩道側の端っこをはしるのですが、このように道の中央が自転車レーンになっている道もあります。これは結構変な気分ですが、自転車は乗り物、という意識がこちらではしっかりしているのかもしれません。


ロータリーに出くわして、じじじじじ自転車はどどどどどどうしたらと思っていたら、ああ、なるほど、ここで歩道に上がりなさい、という指示ですね。

海沿いの道も走ってみました。延々海岸にそって続く気持ちのいい道路が伸びていました。



こぎ疲れたので、海沿いのレストランで補給。

なんか、逆にこっちが取って食われそうな迫力です。
奥にある緑色のものは、ピメント(ししとう)を塩で味付けしてオリーブオイルで素揚げしたものです。シンプルですがやみつきになる、バルセロナに来たら是非食べてみて欲しい料理です。

いつもは海のない京都で走っているので、実はこんなに海岸線を自転車で走るなんていう体験ははじめてだったかもしれないです。日本に帰ったら海沿いを自転車で走ってみたいという思いを強くしました。



2011-10-31

カンプ・ノウよ、わたしは帰ってきた

土曜日は地元バルセロナの、というよりは世界的な人気があり、昨年のヨーロッパチャンピオンズリーグ覇者、世界史上最強チームとの呼び声も高い、F.Cバルセロナのホームゲームを、カンプ・ノウスタジアムに観戦に行ってきました。



 スタジアムは9万人以上を収容する巨大なもの。京都競馬場で三冠がかかった菊花賞でもそんな人数は集まりません。それが普通の週末の試合、キックオフ時にはほぼ満席です。恐ろしい文化です。

マジョルカを相手にバルサは黄金の中盤,シャビとイニエスタを温存。私のお気に入りのイニエスタちゃん(顔がスペイン風とっつぁん坊やという感じでかわいい)を見られなかったのはちょっと残念でしたが、前半からエースストライカー・メッシの目の覚めるようなハットトリックが繰り広げられ、観客席ではウェーブが何周も何周も巻き起こります。


試合中ずっと動きまわって指示をするグアルディオラ監督

ちょっとしたパスでも良い判断に対しては大拍手、サッカーに対する目が肥えています。バルサのサッカーは「ポゼッション」といって、ボールをキープして味方でパスを回しながら、波状攻撃をかけるという攻撃的で華麗なサッカースタイル。メッシがボールを持ってドリブルでディフェンダーを抜いていくと会場はヒートアップ。なんだか大人が子供をからかっているかのように、面白いようにバルサのパスが決まります。これが醍醐味です。

日本でも守って守って勝ちを狙う落合野球のようなプレイスタイルはあまり好まれないようですが(あれはあれで大したもんだと思っていますが)バルサは「攻めてりゃ負けないだろ」という自信と明るさ、まるでバルセロナの天気のように明快な精神に溢れています。

バルセロナには日本でいうと東京に対抗心を燃やす関西、とくに大阪的な気質があるようで、さながら甲子園の野球の試合という雰囲気もうっすら感じました。阪神ー巨人戦にあたるレアル・マドリード戦は相当な盛り上がりを見せるそうです。チケット売り場でも試合ごとに価格が書いてあるのですが、レアル・マドリード戦だけランクがA++と書いてあって、普段の倍ぐらいの値段ですがすぐ売り切れるそうです。

日常にサッカーがあり、それが非日常的な時間を見せてくれる、なんだか良く生きるためのヒントがありそうな気がしました。
試合は5−0でバルサの大勝。最後は六甲おろし、じゃなくて、バルサの応援歌を皆で大合唱して帰路につきます。

ところで、自転車ロードレースには強いスペイン人もたくさんいるのですが、こちらの人に聞いたら「え?ブエルタ?おまえあんな退屈なもの見てるのかよ」という反応でした。まあ確かにカンプ・ノウのサッカーに比べりゃ地味に感じるのも理解はできますが。

2011-10-29

海外でのデータ通信

今回の滞在中、移動中のデータ通信、特に私の生活に欠かせなくなってしまっているiPhoneのためのデータ通信をどうするかという課題について、役に立つかわかりませんがレポート。

今回は、グローバルデータというところの「MiFi」をレンタルしました。
詳しくはリンク先に書いてありますが、キャンペーンで1日1280円で借りれるので、まあ日本にいてもめちゃくちゃ喋る人は2万ぐらいは平気で使うっていうし、なれない土地で移動中にWiFiスポットを探しさまようのもなんだと思い、思い切って4週間レンタルしました。

結果として借りてよかったなという印象です。最近のホテルではWiFi完備のところもありますが、今回滞在したところは有線LANしかなかったので、ベッドに寝そべってTwitter見たりする、っていう細かいところでもメリットはありました。

ちゃんと上手く動くかなー、と思ったけど、バルセロナの空港に到着して、スイッチを入れ、SSIDとパスワード入力したらあらすんなり接続。あとはSkypeでもメールでもFacebookでもばしばしメッセージのやりとりができます。

このおかげで滞在中に現地で携帯電話を買ったりレンタルする必要も省けたので、結果的に経済的にも元は取れたんじゃないかと感じます。っていうか、本当に俺は携帯電話の音声通話はほとんどやらないなあ、ということを改めて感じ取れました。

注意点としては、通信量が多くなりすぎた場合、通信を制限される場合があるということです。
これは、動画を見たりUSTREAM配信したりSkypeのビデオチャットを使ったりということを繰り返すとペナルティをくらうということらしいです。
私は基本的に屋外で使うのはテキストメッセージとか、instagramに写真投稿するとかぐらいだったので、とくに問題は発生しませんでした。

iPhoneを持って行くと勝手にその国のキャリアの電波を拾うようですが、これはサイトの説明書きにもありますが、「モバイルデータ通信」を「オフ」にしておくと通信キャリアによるデータ通信は発生しません。これが「オン」になっているとその国のキャリアでデータ通信してしまうので、料金が発生してしまいます。

私は日本で飛行機に乗る前にiPhone4の設定を変えてから出発しました。
着いてからだと、勝手に海外キャリアをつかんじゃうかもしれないので、早めにやっといたほうがいいです。



このようになっていると、一応ボーダフォンスペインの電波を拾っているけど、通信はWiFi経由のみで行われます。
スペインの場合はSoftBankのiPhoneだと、Vodafone ESなら一応パケット定額サービスもあるみたいですけど、Movistarなど他のキャリアを使ってしまうと、パケ死する恐れもあるので注意が必要です。

圏外になるとしょっちゅうこういうメッセージが出てうっとおしいですが、無視して構いません。これ、iOS5ではメッセージ表示が変わってるのかな。今回は出発ギリギリがiOSアップデートだったので、リスクを考えてiOS4のままでアップデートしてません。

日本に帰ったらiOSアップデートするだろうけど、Twitterで山ほどてこずった人の話を見てるだけに気が重いです。

あと、バッテリーですが、1日中つけっぱなしでは持たないです。

私は「eneloop」のモバイル用バッテリーを持って行きました。MiFiと一緒にレンタルもできるみたいですけど、普通にiPhoneとかの充電に使えるのでまたいずれ仕事で出張するような時にも便利だろうと思って購入。eneloop mobile booster というやつの小さいほうを使いました。MiFiの本体バッテリーとこいつとで十分持ちました。ヨドバシの店員が「パソコンのUSBからしか充電できないです」と言っていたけど、普通にコンセントから充電できるようになってました、情報古いよあんた。



適合するケーブルがあれば、普通の携帯電話やAndroidとかNintendo DSとかへの充電にも使えるでしょう。

以上です。


2011-10-26

モバイルアート

一ヶ月のバルセロナ滞在、マラソンで言えばハーフを終えたところでしょうか。
ここからますます足が動かなくなってくるのがマラソンですが、そこからは気力です。

先週は、HANGAR.ORGというところで開催されていた、「モバイル・アート・ラボ」という1週間のワークショップに運良く入り込むことができました。とはいっても観ていただけですけれど。

メディアアートの界隈ではかなりスゴイ人達が参加しており怖気付きましたが、スペインに来てまで遠慮の塊というわけにも行くまいと、どしどし顔を突っ込んでいく日本ではみられないスピリットが炸裂します。



技術的なことは、スペイン語がほとんど分からない私ですがやろうとしていることの意図は伝わってきます。

このワークショップの目的は、1週間でナレッジ(知識)の共有をはかり、モバイルアートの将来の可能性を見出すこと。連絡の道具だった携帯電話もいまや、立派なコンピューターを凌ぐ性能と通信ネットワークを備えています。アートと技術とがコミュニケーションを共通のテーマとして様々な試みが行われています。

内容として扱われていたものは、私自身にとってみれば、これはスゴイ、聞いたこともない、というものではありませんでした。逆に言えば技術的な差は国際間でもそれほど大きいわけではなく、みんな同じような要望をモバイルに対して感じているということが言えると思います。

スマートフォンに限らず、家電でも、電気のスイッチでも、水洗トイレの洗浄ボタンでも、カルチャーは大きく異なります。これは技術力の差だけで説明がつくものでしょうか。

私はこれから世界で日本が、類まれな技術力を売りにしていけるかというと、逆にこのワークショップでの体験から、技術は均質化してきているという印象を受けました。そうなってくると違いはその土地土地のカルチャーから芽生えてくるのではないかと思います。

技術を設備環境だと受け入れるか、道具として自らの意志で駆使するか、それは人の考え方一つによって変わってくるということに思いをはせました。
ただ単に便利になったなあ、とおもうだけではなく、そこに対しての「異議申し立て」がモバイルアートの役割なのではないか、と。

モバイルアートというのは、携帯電話は人のコミュニケーションを司る環境でもあり道具でもあり、人はそれとの関わりを避けて通れなくなっている中で、どのようなスタイルでそれと接するかという人と機械との関係をデザインすることだというのが、この機会を通じての自分の考えでありました。


2011-10-21

そろそろ自転車の話をしないか

滞在2週目に入りました。
海外滞在期間のバッケンレコード更新です。

はっきりいって心身共に疲れ果てているはずです。はずです、っていうのはそれを上回る刺激とアクセル感によって飛び散らかってるから、疲れの塊にならずに遠心力で疲労を外に追い出してる感じですね。

改めて言いますが日本食は偉大ですよ。帰ったらもっと頑張りたいですね。自転車の話でしたそうでした。

ヨーロッパの街には青い自転車が映えますね。自転車に乗りたく感じてきました。気持ちが落ち着いてきたしるしでしょうか。

2011-10-18

さすが世界の海を束ねただけの事はある

港、ビーチ、シーフード。
海の街。世界にいく場所。
世界がくる場所。
今はネットだけど、世界が海でつながってたんだな。

2011-10-16

ある1日

ギャラリーにいって作業など。


近くにある大きなサンタントニ市場は改修中のよう。
仮設の市場があって、それも巨大。


がちゃがちゃと、作業しています。


家への帰り道、子供用品のお店の軒先に並んだたくさんのよだれかけ、かわいい。
娘に一つ買ってやりたいな。


バルで晩ご飯。サラダパスタとパンコントマテ。このパンがさくっとしてて、ほどよい大きさで、どこのパン屋さんに売ってるのかと探してるんだけど、まだ発見できず。

最初の日曜日はちょっとしたお楽しみが控えています。

2011-10-15

Colorfull Foods

3日目。ギャラリーからの帰り道に市場に立ち寄ってきました。
 赤い玉ねぎ
 ドラゴンフルーツでしたっけ?味は割と淡白らしい。
フレッシュジュース。たいてい2種類以上のミックス。
ココナッツ&ストロベリーが最高に美味しい。

パンと生ハムを買って家で食べました。
こちらでの料理の基本、オリーブオイルも調達。
トマトを切ってパンにこすりつけてオリーブオイルかければ、
あっというまに「パン・コン・トマテ」ができます。


2011-10-14

モデルニスモの街へ


およそ6年ぶりに、ふたたびバルセロナにやってきました。
これから4週間の間、ここに滞在します。

前回は、サッカーと建築と美味いメシを楽しむ旅行にきました。
今回は、aDaギャラリーというところに滞在しながら、私とバルセロナで活動する日本人アーティストとの共同制作「Co-Working(コワーキング)」を行うためにやってきました。

この街や人々と生活し、一種の「異界に触れる」というインスピレーションをもとに、いろいろと勉強しながらここで作品を作り上げていく第一歩を踏み出して行きたいとおもいます。

2011-10-11

YES

もうだいぶん前の話になりますが。7月のこと。

園祭のあいだ妻と娘が帰省していたので、仕事が休みの日を利用して広島まで会いにいったのですが、しばらくぶりに対面しても娘は父ちゃんのことを覚えてくれていたようでした。微妙にジイジと間違えていたフシはありますが。まあこっちも毎晩気兼ねなくツール・ド・フランスを観戦してましたがね。

ただの身体の反射かもしれませんが、にっこりしてくれるだけでもすごい進歩に思えます。無条件にすべてのものが許せるし、好きになるし、多分世界が良いものになる気分です。



ところで、妻と娘の帰省よりも少し前の事、なんのきっかけだったか忘れたけれど、娘と遊んでいると妻から
「なんで自転車に乗ろうと思ったの?」
という質問をされ、その場ではとくに具体的な回答はしなかったのでした。

それからまあ、ぼんやり考えたり、仕事があわただしくて考えることもなかったり。

それで結論を言うなら、「どこかから、自転車の種が飛んできて、芽が出てふくらんだ」というようなことです。
趣味というのは、友達がはこんできたり、本屋でみつけたり、歩いているときにポスターをみかけたり、たまたま映像で出てきたのを見たり、そんなもんです。

たとえば走るとイライラが解消される、という効果めいたものは有るかもしれません。でもイライラしてるのを消したいから自転車に乗り始めたわけではない。イライラ解消されたとしても体は疲れるし、息苦しいし、足は痛いし、おケツも痛い。割にあいません。

いっぽうで、眠いなあ、とか、しんどいなあ、と思うような時でも、5分も走れば自然に体は反応してくるのです。最初の1キロを走ると、次の3キロを走る筋肉が目覚めて起きてくる。3キロを走るころには10キロを走るための身体が起動している、という寸法です。

で、趣味を始める理由って、一人で考えてても見つからないこと、それを他の何かと付き合うことで見つけていく、そういうことなんじゃないかなと思うんです。外からの刺激に対して自分が「YES」と反応する、そのことで「あ、私はこれが好きなんだ」と気づく。だからこれは私にとって自転車に限った話ではないのです。能の稽古を始めたのもそうです。

能の謡って厳密な音階がないんですね。ただ相対的に上音、中音、下音、そして「浮き」という半音の調整がある。だから稽古するたびにまずその日一番大きな声がでる出し方で声を出す。そしてしばらくすると音の上げ下げが安定し始める。これも、やりながら体が起動していく、目覚めていく、という感覚のように思います。

おかしなことかもしれませんが、「趣味があったから、自分が好きなことが何なのかに気がつく」そんな理由でもいいのではないかと思っています。普段それほど無茶苦茶好きであることを意識していなくても、趣味と付き合っていくことで自分の感覚を再認識する、とか。まあ言葉にするとやっかいなのですが、自転車や能は、自分を写す「鏡」なのかもしれません。

父親となった現在、娘が物心ついても、反抗期になっても、成人しても、誰かのお嫁・・・いやゲフンゲフン・・・とにかく、私はそれらの趣味はずっと続けているような気がしています。それが自分にとっての「YES」だからです。

傲慢な言い方ですが、私に長く大切にしてもらえることが分かっていたから、自転車は私のところへやってきた、と、こう言い切ってしまってもいいでしょう。
娘もそうなのだとしたら、なお言うことはないな、と思いながら、広島を後にしました。


(写真:太田川とJR可部線)

2011-03-24

篠山ABCマラソン

春のおとずれは、マラソンとともに。
昨年につづいて篠山ABCマラソンを走ってきた。

昨年の篠山といえば・・・身重の妻を家に残し、降りしきる雨の中走りぬき、濡れネズミになってゴールしたら車の中で着替え、一人さびしく運転して帰って来たものだった。

そんな想いをしながらも、懲りずにまたもエントリー。でも今年は昨年とはちょっとわけが違う。今年は奇跡的に前日の宿が取れたのだ。今回は私の父もエントリー。
おばあちゃんと妻と娘、三世代チアガールズ結成。
娘の前でいいところをみせようと、おじいちゃん VS おとうちゃん、の決戦で篠山は熱く燃える・・・はずだった。

しかし、直前になって一緒に出走予定だったおじいちゃん(私の父)は体調不良のため欠場。

やむなく一人で42キロの道のりとなった。
号砲が鳴ってからおよそ5分ほどは前がつかえてるので、スタートラインまではノロノロ運転。

こういう市民マラソンにはウサギやカエルのかぶり物などを始めとした、「コスプレ」がつきものだが、開始5キロで早くもヤバいのが現れた。



わかる人にはわかるが、こいつに5キロ地点で遭遇していて助かったといえるだろう。
こいつの登場がもし、最も精神的につらい35キロ地点だったなら、「もう嫌だ、耐えられない、『契約』したい!」、という気持ちになっていただろう。

中間地点では妻と娘の応援。パワーをもらって、ついついオーバーペースになりそうなのをこらえる。豆おにぎりを補給。本来、おにぎりの具に豆は認めない派閥に属しているが、マラソンの時ばかりは炭水化物とアミノ酸を同時に摂取できる効率から、補給に限り例外を認めることにしている。

そして辛いつらい36キロ地点(最後の足切り関門)では、きゅうべえの代わりに、レンタル自転車で先回りしたおばあちゃん(私の母)が、父ちゃんの大好物・ミニカステラを大量に持って来てくれて補給。

(ちなみにこのミニカステラや、砂糖をまぶしたレモンの輪切りは、私が通り過ぎたあと、他のランナー配ったところ、一瞬で喰い尽くされたそうだ)

最後の数キロは道具だのみ。2xuのカーフガードが、もはやただの棒と化した足を支えてくれる。


しかし、この商品写真を見てから驚いた。

どうやら私はカーフガードを、前後さかさまに着けていたようだ。はたして本当に効果はあったのか。まあプラセボであったとしても、楽だったことには違いないので結果オーライとしよう。

タイムは去年よりは縮まって4時間46分。
途中で娘とイチャイチャしてたので5分ほどはロスしている。

シシ汁ふるまいは、ゴール地点にあるのを知っていたので、途中のは完全スルーしたが、そうしておいて良かった。

やはり前泊は体力的にも気持ち的にも楽。
地元としても、こうしたお客が増えた方がイベントが経済的にも盛り上がってくれていいのだろう。

マラソンイベントのボランティアの人たちの気配りには、感動をおぼえるものが少なくない。

と、同時に自分にも何か貢献できることはないのかという思いもある。
来年の春には京都マラソンが開催されるわけだけど、せっかくホームグラウンドなのだから、ボランティアとか「もてなす側」をやってみるのもいいなと考えたりしている。