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2011-10-31

カンプ・ノウよ、わたしは帰ってきた

土曜日は地元バルセロナの、というよりは世界的な人気があり、昨年のヨーロッパチャンピオンズリーグ覇者、世界史上最強チームとの呼び声も高い、F.Cバルセロナのホームゲームを、カンプ・ノウスタジアムに観戦に行ってきました。



 スタジアムは9万人以上を収容する巨大なもの。京都競馬場で三冠がかかった菊花賞でもそんな人数は集まりません。それが普通の週末の試合、キックオフ時にはほぼ満席です。恐ろしい文化です。

マジョルカを相手にバルサは黄金の中盤,シャビとイニエスタを温存。私のお気に入りのイニエスタちゃん(顔がスペイン風とっつぁん坊やという感じでかわいい)を見られなかったのはちょっと残念でしたが、前半からエースストライカー・メッシの目の覚めるようなハットトリックが繰り広げられ、観客席ではウェーブが何周も何周も巻き起こります。


試合中ずっと動きまわって指示をするグアルディオラ監督

ちょっとしたパスでも良い判断に対しては大拍手、サッカーに対する目が肥えています。バルサのサッカーは「ポゼッション」といって、ボールをキープして味方でパスを回しながら、波状攻撃をかけるという攻撃的で華麗なサッカースタイル。メッシがボールを持ってドリブルでディフェンダーを抜いていくと会場はヒートアップ。なんだか大人が子供をからかっているかのように、面白いようにバルサのパスが決まります。これが醍醐味です。

日本でも守って守って勝ちを狙う落合野球のようなプレイスタイルはあまり好まれないようですが(あれはあれで大したもんだと思っていますが)バルサは「攻めてりゃ負けないだろ」という自信と明るさ、まるでバルセロナの天気のように明快な精神に溢れています。

バルセロナには日本でいうと東京に対抗心を燃やす関西、とくに大阪的な気質があるようで、さながら甲子園の野球の試合という雰囲気もうっすら感じました。阪神ー巨人戦にあたるレアル・マドリード戦は相当な盛り上がりを見せるそうです。チケット売り場でも試合ごとに価格が書いてあるのですが、レアル・マドリード戦だけランクがA++と書いてあって、普段の倍ぐらいの値段ですがすぐ売り切れるそうです。

日常にサッカーがあり、それが非日常的な時間を見せてくれる、なんだか良く生きるためのヒントがありそうな気がしました。
試合は5−0でバルサの大勝。最後は六甲おろし、じゃなくて、バルサの応援歌を皆で大合唱して帰路につきます。

ところで、自転車ロードレースには強いスペイン人もたくさんいるのですが、こちらの人に聞いたら「え?ブエルタ?おまえあんな退屈なもの見てるのかよ」という反応でした。まあ確かにカンプ・ノウのサッカーに比べりゃ地味に感じるのも理解はできますが。

2011-10-29

海外でのデータ通信

今回の滞在中、移動中のデータ通信、特に私の生活に欠かせなくなってしまっているiPhoneのためのデータ通信をどうするかという課題について、役に立つかわかりませんがレポート。

今回は、グローバルデータというところの「MiFi」をレンタルしました。
詳しくはリンク先に書いてありますが、キャンペーンで1日1280円で借りれるので、まあ日本にいてもめちゃくちゃ喋る人は2万ぐらいは平気で使うっていうし、なれない土地で移動中にWiFiスポットを探しさまようのもなんだと思い、思い切って4週間レンタルしました。

結果として借りてよかったなという印象です。最近のホテルではWiFi完備のところもありますが、今回滞在したところは有線LANしかなかったので、ベッドに寝そべってTwitter見たりする、っていう細かいところでもメリットはありました。

ちゃんと上手く動くかなー、と思ったけど、バルセロナの空港に到着して、スイッチを入れ、SSIDとパスワード入力したらあらすんなり接続。あとはSkypeでもメールでもFacebookでもばしばしメッセージのやりとりができます。

このおかげで滞在中に現地で携帯電話を買ったりレンタルする必要も省けたので、結果的に経済的にも元は取れたんじゃないかと感じます。っていうか、本当に俺は携帯電話の音声通話はほとんどやらないなあ、ということを改めて感じ取れました。

注意点としては、通信量が多くなりすぎた場合、通信を制限される場合があるということです。
これは、動画を見たりUSTREAM配信したりSkypeのビデオチャットを使ったりということを繰り返すとペナルティをくらうということらしいです。
私は基本的に屋外で使うのはテキストメッセージとか、instagramに写真投稿するとかぐらいだったので、とくに問題は発生しませんでした。

iPhoneを持って行くと勝手にその国のキャリアの電波を拾うようですが、これはサイトの説明書きにもありますが、「モバイルデータ通信」を「オフ」にしておくと通信キャリアによるデータ通信は発生しません。これが「オン」になっているとその国のキャリアでデータ通信してしまうので、料金が発生してしまいます。

私は日本で飛行機に乗る前にiPhone4の設定を変えてから出発しました。
着いてからだと、勝手に海外キャリアをつかんじゃうかもしれないので、早めにやっといたほうがいいです。



このようになっていると、一応ボーダフォンスペインの電波を拾っているけど、通信はWiFi経由のみで行われます。
スペインの場合はSoftBankのiPhoneだと、Vodafone ESなら一応パケット定額サービスもあるみたいですけど、Movistarなど他のキャリアを使ってしまうと、パケ死する恐れもあるので注意が必要です。

圏外になるとしょっちゅうこういうメッセージが出てうっとおしいですが、無視して構いません。これ、iOS5ではメッセージ表示が変わってるのかな。今回は出発ギリギリがiOSアップデートだったので、リスクを考えてiOS4のままでアップデートしてません。

日本に帰ったらiOSアップデートするだろうけど、Twitterで山ほどてこずった人の話を見てるだけに気が重いです。

あと、バッテリーですが、1日中つけっぱなしでは持たないです。

私は「eneloop」のモバイル用バッテリーを持って行きました。MiFiと一緒にレンタルもできるみたいですけど、普通にiPhoneとかの充電に使えるのでまたいずれ仕事で出張するような時にも便利だろうと思って購入。eneloop mobile booster というやつの小さいほうを使いました。MiFiの本体バッテリーとこいつとで十分持ちました。ヨドバシの店員が「パソコンのUSBからしか充電できないです」と言っていたけど、普通にコンセントから充電できるようになってました、情報古いよあんた。



適合するケーブルがあれば、普通の携帯電話やAndroidとかNintendo DSとかへの充電にも使えるでしょう。

以上です。


2011-10-26

モバイルアート

一ヶ月のバルセロナ滞在、マラソンで言えばハーフを終えたところでしょうか。
ここからますます足が動かなくなってくるのがマラソンですが、そこからは気力です。

先週は、HANGAR.ORGというところで開催されていた、「モバイル・アート・ラボ」という1週間のワークショップに運良く入り込むことができました。とはいっても観ていただけですけれど。

メディアアートの界隈ではかなりスゴイ人達が参加しており怖気付きましたが、スペインに来てまで遠慮の塊というわけにも行くまいと、どしどし顔を突っ込んでいく日本ではみられないスピリットが炸裂します。



技術的なことは、スペイン語がほとんど分からない私ですがやろうとしていることの意図は伝わってきます。

このワークショップの目的は、1週間でナレッジ(知識)の共有をはかり、モバイルアートの将来の可能性を見出すこと。連絡の道具だった携帯電話もいまや、立派なコンピューターを凌ぐ性能と通信ネットワークを備えています。アートと技術とがコミュニケーションを共通のテーマとして様々な試みが行われています。

内容として扱われていたものは、私自身にとってみれば、これはスゴイ、聞いたこともない、というものではありませんでした。逆に言えば技術的な差は国際間でもそれほど大きいわけではなく、みんな同じような要望をモバイルに対して感じているということが言えると思います。

スマートフォンに限らず、家電でも、電気のスイッチでも、水洗トイレの洗浄ボタンでも、カルチャーは大きく異なります。これは技術力の差だけで説明がつくものでしょうか。

私はこれから世界で日本が、類まれな技術力を売りにしていけるかというと、逆にこのワークショップでの体験から、技術は均質化してきているという印象を受けました。そうなってくると違いはその土地土地のカルチャーから芽生えてくるのではないかと思います。

技術を設備環境だと受け入れるか、道具として自らの意志で駆使するか、それは人の考え方一つによって変わってくるということに思いをはせました。
ただ単に便利になったなあ、とおもうだけではなく、そこに対しての「異議申し立て」がモバイルアートの役割なのではないか、と。

モバイルアートというのは、携帯電話は人のコミュニケーションを司る環境でもあり道具でもあり、人はそれとの関わりを避けて通れなくなっている中で、どのようなスタイルでそれと接するかという人と機械との関係をデザインすることだというのが、この機会を通じての自分の考えでありました。


2011-10-21

そろそろ自転車の話をしないか

滞在2週目に入りました。
海外滞在期間のバッケンレコード更新です。

はっきりいって心身共に疲れ果てているはずです。はずです、っていうのはそれを上回る刺激とアクセル感によって飛び散らかってるから、疲れの塊にならずに遠心力で疲労を外に追い出してる感じですね。

改めて言いますが日本食は偉大ですよ。帰ったらもっと頑張りたいですね。自転車の話でしたそうでした。

ヨーロッパの街には青い自転車が映えますね。自転車に乗りたく感じてきました。気持ちが落ち着いてきたしるしでしょうか。

2011-10-18

さすが世界の海を束ねただけの事はある

港、ビーチ、シーフード。
海の街。世界にいく場所。
世界がくる場所。
今はネットだけど、世界が海でつながってたんだな。

2011-10-16

ある1日

ギャラリーにいって作業など。


近くにある大きなサンタントニ市場は改修中のよう。
仮設の市場があって、それも巨大。


がちゃがちゃと、作業しています。


家への帰り道、子供用品のお店の軒先に並んだたくさんのよだれかけ、かわいい。
娘に一つ買ってやりたいな。


バルで晩ご飯。サラダパスタとパンコントマテ。このパンがさくっとしてて、ほどよい大きさで、どこのパン屋さんに売ってるのかと探してるんだけど、まだ発見できず。

最初の日曜日はちょっとしたお楽しみが控えています。

2011-10-15

Colorfull Foods

3日目。ギャラリーからの帰り道に市場に立ち寄ってきました。
 赤い玉ねぎ
 ドラゴンフルーツでしたっけ?味は割と淡白らしい。
フレッシュジュース。たいてい2種類以上のミックス。
ココナッツ&ストロベリーが最高に美味しい。

パンと生ハムを買って家で食べました。
こちらでの料理の基本、オリーブオイルも調達。
トマトを切ってパンにこすりつけてオリーブオイルかければ、
あっというまに「パン・コン・トマテ」ができます。


2011-10-14

モデルニスモの街へ


およそ6年ぶりに、ふたたびバルセロナにやってきました。
これから4週間の間、ここに滞在します。

前回は、サッカーと建築と美味いメシを楽しむ旅行にきました。
今回は、aDaギャラリーというところに滞在しながら、私とバルセロナで活動する日本人アーティストとの共同制作「Co-Working(コワーキング)」を行うためにやってきました。

この街や人々と生活し、一種の「異界に触れる」というインスピレーションをもとに、いろいろと勉強しながらここで作品を作り上げていく第一歩を踏み出して行きたいとおもいます。

2011-10-11

YES

もうだいぶん前の話になりますが。7月のこと。

園祭のあいだ妻と娘が帰省していたので、仕事が休みの日を利用して広島まで会いにいったのですが、しばらくぶりに対面しても娘は父ちゃんのことを覚えてくれていたようでした。微妙にジイジと間違えていたフシはありますが。まあこっちも毎晩気兼ねなくツール・ド・フランスを観戦してましたがね。

ただの身体の反射かもしれませんが、にっこりしてくれるだけでもすごい進歩に思えます。無条件にすべてのものが許せるし、好きになるし、多分世界が良いものになる気分です。



ところで、妻と娘の帰省よりも少し前の事、なんのきっかけだったか忘れたけれど、娘と遊んでいると妻から
「なんで自転車に乗ろうと思ったの?」
という質問をされ、その場ではとくに具体的な回答はしなかったのでした。

それからまあ、ぼんやり考えたり、仕事があわただしくて考えることもなかったり。

それで結論を言うなら、「どこかから、自転車の種が飛んできて、芽が出てふくらんだ」というようなことです。
趣味というのは、友達がはこんできたり、本屋でみつけたり、歩いているときにポスターをみかけたり、たまたま映像で出てきたのを見たり、そんなもんです。

たとえば走るとイライラが解消される、という効果めいたものは有るかもしれません。でもイライラしてるのを消したいから自転車に乗り始めたわけではない。イライラ解消されたとしても体は疲れるし、息苦しいし、足は痛いし、おケツも痛い。割にあいません。

いっぽうで、眠いなあ、とか、しんどいなあ、と思うような時でも、5分も走れば自然に体は反応してくるのです。最初の1キロを走ると、次の3キロを走る筋肉が目覚めて起きてくる。3キロを走るころには10キロを走るための身体が起動している、という寸法です。

で、趣味を始める理由って、一人で考えてても見つからないこと、それを他の何かと付き合うことで見つけていく、そういうことなんじゃないかなと思うんです。外からの刺激に対して自分が「YES」と反応する、そのことで「あ、私はこれが好きなんだ」と気づく。だからこれは私にとって自転車に限った話ではないのです。能の稽古を始めたのもそうです。

能の謡って厳密な音階がないんですね。ただ相対的に上音、中音、下音、そして「浮き」という半音の調整がある。だから稽古するたびにまずその日一番大きな声がでる出し方で声を出す。そしてしばらくすると音の上げ下げが安定し始める。これも、やりながら体が起動していく、目覚めていく、という感覚のように思います。

おかしなことかもしれませんが、「趣味があったから、自分が好きなことが何なのかに気がつく」そんな理由でもいいのではないかと思っています。普段それほど無茶苦茶好きであることを意識していなくても、趣味と付き合っていくことで自分の感覚を再認識する、とか。まあ言葉にするとやっかいなのですが、自転車や能は、自分を写す「鏡」なのかもしれません。

父親となった現在、娘が物心ついても、反抗期になっても、成人しても、誰かのお嫁・・・いやゲフンゲフン・・・とにかく、私はそれらの趣味はずっと続けているような気がしています。それが自分にとっての「YES」だからです。

傲慢な言い方ですが、私に長く大切にしてもらえることが分かっていたから、自転車は私のところへやってきた、と、こう言い切ってしまってもいいでしょう。
娘もそうなのだとしたら、なお言うことはないな、と思いながら、広島を後にしました。


(写真:太田川とJR可部線)