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2012-02-01

教師をやってみた

大学の非常勤講師という役が、なんの縁か因果か自分に巡ってきたので、やってみたこと、感じたことを忘れないうちに書いておくことにする。

まず、90分ってめっちゃ短い。それに対して授業の準備は2倍以上の時間がかかる。仕事的には大変コストの見合わない作業である。

学生は基本的に言うことを聞く。静かにしろというと、静かになる。言い方の問題である。
そうするとそれ以降は静かに話を聞くようになる、という判断は誤り。
基本的にじっと話を聞いていられるわけではない。目の前にパソコンがあれば、学生は何かをしたくなるので、講義は聞いているようで聞かない。つまり説明というのは回りくどい行事なのだ。さっさと何かやらせてよ、と待ち構えている。

実習と繰り返し、手と体で覚えるような進行が一番いい。聞いて理解よりやって理解するほうがいいし、多分そっちのほうが集中して課題にも取り組める。人の話を一番聞くのは、自分の疑問を聞いて回答をもらうときである。

課題で先生のやった結果と自分の結果が違っていると学生はひどく不安になる。それは中学高校まで、一つの解を目指していき、その得点でいろいろ左右されてきたのだから、そうなるだろう。

多少結果がブレていてもそれは取り組みとしては間違っていないからよい、ということに対して不安が大きいらしい。プログラムは自由に作るものだし、正解にたどり着く方法はいくつでもある。正解自体がいくつもある。ただ、そのことを正論として伝えることはかなりやっかいな話なのだ。

なぜいろんな結果が出るのか、その分岐点はどこにあるのか、そういうことが示せたら不安はやわらぐのかもしれない。

大事な伝えたい事は言葉でいうだけでなく、課題など学生自身が作ったり考えたりすることの中に上手く仕込んでおくとよい、それがいろいろやってみた結果である。当たり前のことかもしれないけれど。

学生に考えさせる機会を設け、その方向性を示し、面白いと思うキッカケをつくり、課題をデザインし取り組みをサポートする、そんな仕事である。学生にわざと問題にぶつからせ、疑問を発生させる、しかしそれは教師が仕込んだ罠、と、こういうのが理想的な講義なのだというのは、やってみると非常に納得がいく話だ。